レビー小体型認知症は、1976年に小阪憲司先生が初めて発見した認知症で、近年世界でも注目を集めています。日本では現在、約50万人もの患者さんがいると推測されています。
認知症は「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」「脳血管性認知症」の4つと「その他の認知症(アルコール依存症や慢性硬膜下血腫など)」に大きく分類されます。
軽度認知障害(MCI)の症状でも触れましたが、2025年の日本では、認知症と軽度認知障害(MCI)を合わせた患者数は1300万人に達すると言われています。
レビー小体型認知症とは、アルツハイマー型認知症についで頻度の高い病気であり、高齢男性によくみられます。
認知症といえば物忘れや日にちがわからなくなったり記憶が曖昧になったりするイメージがありますが、レビー小体型認知症では幻視や幻聴、妄想などが目立ちます。
手足が震えたり(振戦)、小刻みに歩いたり(姿勢反射障害)などパーキンソン症状が多く見られるのもレビー小体型認知症の特徴です。
レビー小体型認知症は人によってあらわれる症状が異なり、認知機能もはっきりしているときとぼんやりとしているときが時間や日によって大きく変わります。そのため、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、うつ病などの精神疾患と診断されるケースも多いのです。
また、薬物に対する過敏性(薬剤過敏性)が高いことが大きな特徴としてあるため、誤診されてまちがった薬を処方され、パーキンソン症状が悪化したり認知症が進んでしまったり、ということもあるのです。
これらの症状はレビー小体型認知症の方ですべて起こるわけではなく、人によって出現する時間帯や部位・強さなどが変わってきます。したがって、レビー小体型認知症の介護では、日内変動のパターンを把握してあげることが重要になってくるのです。
レビー小体型認知症の原因は、「レビー小体」という異常なタンパク質が脳内に蓄積し、脳の神経細胞が消滅していくことが分かっています。
たんぱく質は健康な人でも脳内に発生する物質ですが、毎日の睡眠や運動によって除去されています。
何らかの原因で「レビー小体」が脳内に多く蓄積すると、悪さを働きその結果レビー小体型認知症を発症すると言われています。
現時点の医療では、残念ながらレビー小体型認知症を根本的に治す治療法はありません。
したがって、レビー小体型認知症の症状とうまくつき合いながら、日常生活をより良い方向に向けていくことが治療の目標になります。
またレビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などと誤診されたり、単なるパーキンソン病と診断されたりするケースも多いです。薬が合わない場合、認知症が進行したりパーキンソン症状がひどくなったりします。したがって、専門医の指導のもとで適切な治療を受ける必要があります。
薬物療法では、「パーキンソン症状」「認知機能障害」「幻視・妄想などの精神症状」「自律神経症状」それぞれの症状に対しての治療薬が使われます。いずれも薬剤過敏性に十分注意して処方されています。
近年パーキンソン病や認知症に対する電気磁気刺激療法の研究も進んでいますが、いまだはっきりした効果は明らかになっていない状況です。
パーキンソン症状についてはリハビリテーションが有効です。
固まってしまった筋肉や関節をストレッチなどでほぐしていきます。姿勢反射障害や歩行障害などにもアプローチし、杖や歩行器具の使用も検討しながら転倒や二次障害を予防していきます。
また日常生活動作練習などを行い、ご家族とも協力しながらできるだけ自立した生活を送れるように支援していくのがリハビリテーションの目的です。
レビー小体型認知症は「パーキンソン症状」「幻視」「抑うつ」「認知機能の変動」が初期症状で見られます。
湯川鍼灸院では、パーキンソン病の補完代替治療として、鍼灸治療により症状の進行を穏やかにしてまいります。
鍼灸治療では運動症状はもちろん、非運動症状に対しても効果が見られます。
レビー小体型認知症に対する鍼灸治療の効果についての医学的エビデンスはまだまだ少ないのが実状です。
しかしながら個々の症状については、鍼灸治療により症状が抑えられることが分かっています。
また介護する方は、パーキンソン症状では転倒に気をつける必要があり、精神症状には振り回されてしまうことも多くあります。そのため介護する方が疲れた表情をされていることも。
湯川鍼灸院では、ご家族の方であれば隣のベッドでおふたり同時に施術することも可能です。訪問診療も行っています。
もし、現在病院にかかっておられない方で「もしかしてレビー小体型認知症かも」と思われた方には信頼できる神経専門医をご紹介いたします。